隈研吾特別賞部門
隈研吾特別賞 最優秀賞
ONE ANSWER ようこそ、長崎のミュージアムへ[長崎県]
ミュージアムを起点に地域を周遊するという新しい旅を長崎の歴史文化と旅行者自身の経験が交差し、無数にある長崎の宝と宝を繋いで、ページをめくるたびに自分なりの長崎を探す旅のベストガイドを目指しました。 また、高いクオリティーのものを制作し、観光客の手元にしっかり残り長崎県への再訪意欲を喚起できるように持続可能な「売れる」コンテンツとして有料での販売を前提に制作しました。
優秀賞
季刊あおもりのき[青森県]
文化は、地域の豊かな未来を育む上で欠かせないもの。私たちが作るタウン誌も、こうした信念に基づいています。青森の文化を記録し、樹木を育むように長い目で文化を育むこと。そして、未来への希望へとつなげること。これら「記」「樹」「希」の三つの「き」の思いを込め、誌名を「季刊あおもりのき」としました。 第21号は、青森県と星が特集テーマです。夜空に輝く星空は、私たちに何を語りかけ、何を教えてくれるのでしょうか? 巻頭グラビアは、タイムラプス映像作家の三浦直(青森市出身)による県内各地の美しい星空。そして、国内最古クラスの投影機があり、今も生解説で楽しめる青森市のプラネタリウム、明治生まれの八戸市の天文愛好家・前原寅吉の望遠鏡、弘前市の大型反射望遠鏡を備える星と森のロマントピア天文台などを、人びとの思いと共に紹介しています。
優秀賞
sees magazine[長野県]
農と森のインキュベーション施設「inadani sees」。農や森などの自然資源を活かして、持続可能な地域を想像するための「企て」を生み出し、それを見えるカタチに変えていく場所として、2023年5月に長野・伊那谷に誕生しました。地域ごとの文化が守られ、その土地に生きる人たちが希望を持って生きていけるまち。私たちのようなローカルのインキュベーション施設は、そんな「つづいていくまち」をつくるために、少し先の未来と、今いる場所をちゃんと見つめたいと思っています。 インキュベーションは本来、「incubation = 孵化・抱卵」という意味があります。卵が孵るには「温度」が必要です。自然の理がそうであるように、何かが生まれるための温度が宿るような場所。 私たちは「つづいてくまち」を考えるために、温度を感じるまちづくりや、まちのあり方を探すために、マガジンをつくりました。
優秀賞
sprout! 2025 SUMMER ISSUE[長野県]
八燿堂は2019年に東京から長野の山間の集落に移住しました。この間に感じた長野の魅力は、水や空気や食の「美味しさ」、圧倒的で多様な「地域ごとの個性」、そこに住み活動する「人」と、人と人との「つながり」でした。 その思いを表現したのが『sprout!』です。ローカル、オーガニック、サステナブルをキーワードに、県内で活動する人たちを紹介するカルチャーコンテンツで、ムック本とポッドキャストで発信しています。食、農、手仕事、暮らし、ビジネスなどグローバルなトピックをローカル目線で掘り下げ、地域が元気になることを目指しています。 本誌は取材対象、編集、執筆、デザイン、印刷など、すべて長野県在住者・県に縁のある人だけで制作。また長期目標として、森林県である長野の森から紙をつくり、本にして流通させること(本の地産地消)を通して、地域の自然環境を再生し、持続可能な出版活動を実現することを掲げています。


審査コメント
近年、地域を応援する情報誌のレベルが向上し、ビジュアル表現の質も驚くほど高まっています。ページをめくるだけで心が弾み、思わず「この地域へ行ってみたい」と感じさせてくれる媒体が増えてきたことを、大変嬉しく思います。 今回受賞された長崎の媒体もその一つで、特にコンテンツの取材が非常に丁寧である点が強く印象に残りました。建築の世界に携わる者としては、建築の魅力が人の心を動かすために大切だということは言うまでもありませんが、地域そのものの魅力を語る“コンテンツ”は、時としてそれ以上に人の心を動かす力を持っています。地域の風景、人々の営み、食文化、歴史——そうした「地域の物語」を掘り起こし、美しく、楽しく、そして誠実に伝える媒体が生まれてきていることは、日本の地域がこれからさらに元気になっていく大きな兆しだと感じています。 このような高いクオリティで地域を紹介する雑誌が増えていることに、心から期待を寄せています。受賞媒体の皆さまが続けてこられた努力と情熱に深い敬意を表し、今後ますます地域の魅力を世界へ発信していかれることを願っております。 最優秀賞受賞、誠におめでとうございます。
受賞の喜びの声
このたび、隈研吾特別賞 最優秀賞をいただき、誠にありがとうございます。 長崎県文化観光推進事業で、「海外交流史による学びと感動」のテーマのもと、ミュージアムを起点に地域を周遊するという新しい旅の提案を美しいビジュアルと印象深い文章で描き出した、長崎の歴史文化と旅行者自身の経験が交差し、新たな気づき、自分なりの長崎を探す旅のベストガイドを目指しました。 ミュージアムを拠点に周遊していただくガイドブックは、見たことがなかったので、ライターの方々と制作していく中で、地域の博物館、関連するエリアを訪れ、実際に取材に同行し、そのなかで旅行者それぞれの経験をもって、長崎の海外交流に触れることで、その人なりの長崎とはどんなものか、無数にある長崎の宝と宝をつないで、ページをめくるたびに何か見つかるようしたいという話から、ONE ANSWER 、こうした題名とさせていただきました。 行政が作る冊子とは、どうしても、ありきたりな面も多いと思うのですが、カメラマン、ライター、デザイナーの方々のセンスを活かして、魅力的なビジュアルな本ができあがりました。ご覧になった方々から、「素晴らしい本」とのお声をいただき、取材に同行した関係者全員、嬉しくて、とても感動しています。 文化観光推進法の事業に携わってくださった皆様、地域の皆様のご支援、ご協力があったからこその受賞と深く感謝申し上げます。 これからも、多くの方々にお届けできればと思っております。